制作工程


図案

工程の一番始めは図案作り。

この段階が最も重要で、楽しくもあり、白紙の中からどんなものを作ろうかと思い巡らせ少しずつ形にしていきます。

 

 

 


下絵は青花で描きます。

青花とは露草の花の汁を絞って出た液を和紙に染み込ませて乾かしたもので、水で戻して使います。

青花を使う利点は水をかけると消える性質を利用しているもので、描き損じても消すことが出来ます。

 


下絵

糊置き

 

 

下絵を描いた生地を伸子で張って糸目糊を置きます。

糊は糯粉(もちこ)と糠、塩、を混ぜたものに水を加えよく練り、蒸し器で長時間蒸し擂り鉢でこね消石灰を加えます。糊を見やすくするために、私は亜鉛末と群青を加えます。

これを三角錐の筒に入れ先金をつけ絞りながら糊を置いていきます。

糊が置けると裏から刷毛で水を引き、火で一気に乾かし糊を生地に浸透させます。これにより糊が防波堤となり、染料のにじみを止めます。

 


彩色(挿し)

彩色は友禅の仕事の肝となる部分で作者の色のセンスの問われる所でもあります。

染料に胡粉とふのりを入れ筆や刷毛で色を挿していきます。

私は特に加賀友禅の特徴である片羽の刷毛を使った先ぼかしをよく使います。

 


中埋め(糊伏せ)

彩色の上がった生地は1時間ほど蒸して染料を定着させます。

防染糊で柄の部分を伏せていきます。


地染め

地色は刷毛で染めていきます。

地染めは絵画ではバックにあたる所ですが、私は3色ほど使ってぼかしていきます。

地色が染まると一気に全体の空気感がまとまってきます。


水元(友禅流し)

地染めが乾けば1時間ほど蒸し染料を定着させます。

後は水につけ糊を落とします。

糊が落ち水の中から柄が浮き出て来た時が一番の喜びでもあり、また、次への課題も見えてくる所です。

後は生地を張って乾かし、裏打ち、表具、金箔を貼って出来上がり。

 


仕事風景